介護職員たんの吸引等研修 開催しました。

ソーシャルディスタンスに配慮した研修会場

当団体主催の研修

さる9月18日、当団体が主催する「介護職員たんの吸引等研修」(今年度2回目)が開催されました。

今回は、新型コロナウィルス感染拡大を防止するため、通常16名で行う研修を6名に制限しての開催になりましたが、指導看護師による吸引や経管栄養の講義に、受講生は真剣に耳を傾けていました。

今回は、そもそもこの研修がどういうものかについて少しご説明したいと思います。

平成24年、国は「社会福祉士及び介護福祉士法」という法律の一部を改正し、たんの吸引や経管栄養といった一部の医療行為を、正式にヘルパーの業務として認めることにしました。

「一部」とは、具体的には以下の二つの行為になります。

 ①たんの吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部)

 ②経管栄養(胃ろう又は腸ろう、経鼻経管栄養)

もちろん、ヘルパーであれば誰でもこうした医療的ケアが認められるわけではなく、国が定めた一定の研修を受講する必要があります(当団体が今回開催した「介護職員たんの吸引等研修」がこの研修にあたる)。

今回の研修の募集要項

ただし、平成28年度以降の国家試験に合格した介護福祉士は、実務者研修のカリキュラムですでに医療的ケアを学んでいるので、その資格をもって、医療的ケアが可能になっています(実地研修については受講する必要あり)。

法制化以前は?

では、こうした医療的ケアが合法化になる前は、いったいどのような状態だったのでしょう?

実は、法制化以前においても、人工呼吸器使用者等の在宅生活を支援する現場では、家族の負担を軽減する目的もあり、一部でヘルパーによるたんの吸引が行われていました。

当団体(静岡障害者自立生活センター)においても、創設者兼代表であった渡辺正直(わたなべまさなお)自身が、24時間介助が必要な進行性筋ジストロフィーで、人工呼吸器使用者であったため、ヘルパーは常時たんの吸引をせざるを得ませんでした。

自宅で呼吸器を使って生活する渡辺

厳密には違法行為とはわかっていたものの、目の前に、たんが詰まって苦しそうな表情の利用者がいるのですから、「違法だから、ヘルパーはできない…」などと考える余地さえなかったのです。

平成24年に医療的ケアが法制化

平成24年、介護職等による医療的ケアが法制化され、ようやくヘルパーも正々堂々と医療的ケアが出来るようになりました。

以来、当団体は、自らが研修機関となって「介護職員たんの吸引等研修」を積極的に開催してきました。

人体モデルを使っての演習

毎年、3回~8回のペースで開催し、これまでに当団体の研修を修了した者は、およそ500名にのぼります。

これほどまでに、当団体がこの研修に力を入れる背景には、「地域に、医療的ケアが出来るヘルパーをたくさん増やして重度障害者が住みやすい社会をつくりたい…」という願いがあるからです。

しかし、この研修を開催している機関は、当団体を含め静岡県内にまだ2~3カ所しかないのが現状です。

もっと多くのヘルパーに、医療的ケアの技術を身に着ける機会が与えられるといいですね。

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